【チケット転売詐欺】警察をも欺いた、中3女子の巧妙な手口の事件。

事例

知らない間に自分も加害者に!?

【この記事はIT系ライター M氏 が書きました】

人気アイドルグループやアーティストのコンサートのチケットは競争が激しく、各種プレイガイドを利用した正規ルートでの購入は難しくなっています。

そのためどうしてもチケットが欲しい人がインターネット上で転売されているチケットを買い求めるケースが増えています。
以前はネットオークションが主に利用されていましたが、近年ではスマートフォンの普及に伴いtwitterなどのSNSを用いて個人間での取引が行われるケースが増えています。

個人間取引の増加に伴い、「代金を支払ったのにチケットが届かない」「チケットが偽造されたものだった」といったトラブルも増加しています。SNSを利用した取引の場合、従来よりも簡単に不特定多数の人とリアルタイムでやり取りができるのもトラブル増加の要因になっています。

Twitterがきっかけ。警察をも欺いた中3女子の巧妙な手口。

2016年8月、京都市の中学3年生の少女がTwitter上で愛知県豊田市の専門学校生の女性になりすまし、人気アイドルグループ「関ジャニ∞」のチケット転売代金をだまし取るという事件が発生しました。

指示された口座に入金をした被害者に対してチケットが送付されなかったため、警察に申告し事件が発覚しました。
捜査を行った徳島県警はなりすましの被害にあった専門学校生を誤認逮捕してしまい真相が明らかになるまで、19日間に渡って拘留してしまいました。

事件の構図ですが、犯人である女子中学生となりすまし被害者である専門学校生だけでなく、チケット代金を入金した被害者を第三者としても利用する巧妙な手口でした。

事件の構図として、

1. Twitter上で専門学校生に対して犯人である女子中学生が8万円でチケット購入希望の約束をする。
その際に専門学校生の名前や振り込み先口座の情報を入手。

2. 女子中学生は入手した専門学校生の情報を用いて自らのアカウントで「チケットを譲る」とツイート。
被害者となった女子高生ら2人に専門学校生の口座に入金を指示。
この段階で中学生はチケット販売を仲介するサイトにも同チケットを出品。仲介サイト落札者から落札代金6万円を受け取る。

3. 専門学校生には、〈実際には被害者である女子高生2人が〉8万円を入金したのでチケットを送付〈サイト落札者宛〉するように連絡。
専門学校生は入金が被害者である第三者からのものであるとは気づかず、チケットを送り取引完了したと考えていた。

なりすまし被害者である専門学校生に対して、第三者であり被害者でもある女子高生2人を偽装工作にも利用するという極めて巧妙な手口でした。

誤認逮捕から一転、配送記録から事件発覚。

誤認逮捕された専門学校生は当初から容疑を否認していました。チケットは郵便局から送ったと説明しても逮捕前の家宅捜索では徳島県警は配送記録を見つけられませんでした。専門学校生の説明に基づいて、専門学校生自宅近くの郵便局を操作しましたが裏付けとなるものは得られなかったため、代金をだましとったとして専門学校生を逮捕しました。

実際は発送したのは別の郵便局でした。釈放後に専門学校生が配送記録の控えを取り寄せて徳島地検に提出し誤認逮捕が発覚。この配送記録から実際にチケットを受け取った人物を特定し、この人物への聴取から一連の真犯人である京都市の女子中学生の存在が明らかになりました。

高額転売取引に対して動き出した業界

チケットの高額転売取引防止を求める声明が、一般社団法人 日本音楽制作連盟、一般社団法人 日本音楽事業者協会、一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体によって、115組の国内アーティストと24の国内音楽イベントの賛同を得て発表されました。

本来の価格以上にファンがチケットを購入した場合、アーティストのCDやグッズ、別のコンサートに行くことができなくなってしまい結果として業界の利益にならない状態に危機感を募らせたのです。

増えつつある転売行為抑制の仕組み

転売行為の防止に向けて様々な試みが行われています。

・クレジットカード認証、QRコード認証、スマートフォン個体識別番号認証や、一部ではマイナンバーを利用した本人確認の実験も始まっています。さらに一部の公演では購入者の氏名をチケットに印字し、公的な身分証を用いての本人確認も行われています。

反面、こういったさまざまな認証を行う際に時間がかかり講演が遅れる場合があったりと正規の購入者に負担がかかる点も指摘されています。

また、急な用事や病気等でどうしても公演に参加できないために正規の金額でチケットを譲りたいという場合に本人確認・取引・発送確認・購入証明を仲介する『チケトレ』といったサービスも始まっています。

まとめ。個人間取引に潜む危険性に注意しましょう。

パソコンやスマートフォンの普及に伴い、手軽に情報を得たり発信することが可能になっています。
最近では手軽に商品を出品・購入できるメルカリ等のフリマアプリが流行するなど、個人間取引の市場は日々増加しています。

お目当てのアーティストのコンサートやスポーツイベントなどはどうしても行きたくなるのが人情ですが、高額な転売チケットを購入する人がいる限り、転売はなくなりません。転売屋から購入しないことが結果として転売対策になるのです。

また、今回の事件のようにいくつかのネットサービスを組み合わせることで被害者に疑いを抱かせないようにする巧妙な犯罪を行うことが可能になる現状を踏まえ、不用意な取り引きは自らが知らないうちに犯罪に加担してしまう可能性があることを常に認識しながら行動するようにしましょう。

参考リンク

◆チケトレ 公式チケットトレードリセール
https://tiketore.com/

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