パソコンやタブレットを利用している際に、突然、警告画面が表示され「ウイルスに感染しています」といった内容を示す画面とともに、音声や警告音が流れることがあります。これは、パソコンやタブレットに問題が発生したように見せかけた「サポート詐欺」と呼ばれるネット詐欺の1つです。
サポート詐欺とは、名前の通りインターネット関連のサポートサービスを装った詐欺犯罪です。サポート詐欺では、まずウェブページの閲覧中に「マルウェアに感染した」といった警告メッセージを表示させます。警告メッセージの中にサポート窓口への連絡をうながす内容を記載することで、有償サービスの契約へ誘導されます。
サポート詐欺で表示される警告画面のメッセージには、セキュリティ問題が発生しているかのような表示をし、電話をかけるよう誘導します。電話をかけると人が対応し、「遠隔操作でウイルスを除去するので、サポート料金を払ってください」とう内容で話を進められます。支払い方法はクレジットカード決済や、コンビニで購入できる電子マネーなどです。数千円から数万円を要求してきます。遠隔操作を許可した場合は、情報を盗んだり、データやデバイスに損害を与えたりする可能性があるウイルスなどのマルウェア、ランサムウェア、その他の不要なプログラムを無断でインストールされる危険があります。
この種類の詐欺では、ウイルスに感染していると大きく警告画面を表示し、警告音をならすことで、さらに不安をあおります。また、すぐに対処が必要なことを表示し、急いで対応するように要求してきます。また、内容の信頼性を高めるために、よく知られた企業の名前やロゴを悪用する場合があります。サポート詐欺の画面に、マイクロソフトの名前や企業ロゴが掲載されている被害事例が確認されています。
■ サポート詐欺が急増中
サポート詐欺は2012年から存在しており、2018年11月に国民生活センターが注意喚起するほど問い合わせ件数が増えました。
今年に入り、カスタマーサポートをよそおった詐欺「サポート詐欺」が急増しています。国民生活センターの情報によると、全国の消費者センターによせられるサポート詐欺に関する相談件数は2018年度がピークで7,211件でしたが、2019年度5,532件、2020年度5,495件、2021年度は3,700件とやや減っています。しかし、被害金額(契約購入金額)の平均は、2018年度の39,235円だったのが2021年度は141,665円と大幅に大きくなっています。
国民生活センターによると、60歳以上の消費者が契約当事者となる相談が増加しているとのことで、シニア層を狙っていることがわかります。そのため、被害金額も大きくなっていると考えられます。
■ サポート詐欺の画面が表示された場合の対処
サポート詐欺は、ウイルス感染により深刻な被害が出ているように見せかけ、大きな警告音を流すことで、被害者を焦らせ、偽のサポートに連絡するように誘導します。マイクロソフトでは、サポート詐欺にあった場合の対象方法を公開しています。サポート画面が表示されたら、落ち着いて、次の対処を実施してください。
- サポート詐欺の画面の内容や偽のサポートオペレーターの指示には、従わない
・ボタンをクリックしない
・画面に記載されている番号に電話をしない
・サポートツールや遠隔操作のソフトを、インストールしない
・サポート料金などの名目で金銭の支払いを求められても、金銭を支払わない - サポート詐欺の画面を終了する
サポート詐欺の画面は、ブラウザーを全画面で表示したり、複数画面を重ねて表示することで、画面を操作ができないように見せかけます。画面操作ができない場合は、キーボードの [ Ctrl ] [ Alt ] [ Del ]の3つのキーを同時に押して「タスクマネージャー」を起動し、ブラウザーソフトを選択し、「タスクを終了」することで、サポート詐欺の画面を閉じることができます。
- (任意) パソコンのセキュリティを確認する
サポート詐欺は、実際にウイルスに感染していないケースがほとんどで、サポート詐欺の画面を閉じる以外の対処は必要ありません。しかしながら、パソコンのセキュリティ状態が不安な場合や、セキュリティ状態を確かめておきたい場合は、Windows標準の機能を利用して、セキュリティの設定を確認し、状態をスキャンしておくことができます。
■ サポート詐欺の指示に従ってしまった場合の対処
マイクロソフトでは、サポート詐欺の指示に従ってしまった場合の対処方法を掲載しています。サポート詐欺の画面の内容や偽のサポートオペレーターの指示に従ってしまった場合は、以下の対処を検討してください。
・サポート詐欺の画面に表示された番号に電話をした場合:
電話で指示された内容には決して従わず、金銭も支払わないようにしましょう。また、後日、偽のサポートオペレーターが、あなたの電話に繰り返し電話をかけてくる可能性があります。着電しても、応答せず、着信拒否の設定をすることをおすすめします。着電があった際、発信元の電話番号として、マイクロソフトの電話番号が表示されるように偽装されている場合もあります。マイクロソフトから電話をかけ、金銭を要求することはありません。着電しても、応答せず、着信拒否の設定をすることをおすすめします。
・指示されたソフトウェアをインストール・遠隔操作を許可した場合:
偽のサポートオペレーターが指示したアプリやソフトウェアをインストールしてしまった場合は、それらをアンインストールしてください。もし、どのアプリかわからない場合は、システムの復元やリセットを実施することで、以前の状態に戻すことをおすすめします。
・ブラウザーの通知の許可をクリックした場合:
サポート詐欺の画面を閉じても、繰り返しサポート詐欺の画面が表示される場合は、ブラウザーの通知の許可をしている可能性があります。ブラウザーの設定から通知の許可を取り消してください。
【手順 (Microsoft Edge)】
- ブラウザの右上にある[・・・]ボタンをクリックする
- [設定]をクリックする
- [Cookieとサイトのアクセス許可]をクリックし、[通知]をクリックする
- [許可]の項目にあるサイトの右にある三つ丸のボタンをクリックし、[削除]をクリックする
・金銭の支払いをした場合:
偽のサポートオペレーターの指示に従い、金銭を支払った場合は、警察などの法執行機関に相談することをおすすめします。また、クレジットカード番号を伝えた場合は、クレジットカード会社に相談することをおすすめします。
警視庁でも、サポート詐欺に関しての注意喚起をウェブサイトでおこなっており、サイバー犯罪に係る電話相談窓口を設けています。もし自分で判断ができない場合は、相談してみましょう。
ウイルス感染の警告とサポートへの電話番号が表示された(警視庁)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/sodan/nettrouble/jirei/warning_screen.html
関連サイト
そのセキュリティ警告画面・警告音は偽物です!「サポート詐欺」にご注意!!(国民生活センター)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220224_2.html
マイクロソフトのサポートを装った詐欺にご注意ください(Microsoft Security Response Center)
https://msrc-blog.microsoft.com/2022/03/16/supportscamjp/